歌を詠む鳥
生類の最大の関心事は 食 である
それ以外の時間の大半はお寝みタイムと思われる
人も本来はそれでいい筈だが
贅沢を享受してしまった人類は
比較欲に陥ってしまう
みんなが裸足であれば自分も裸足で我慢できるが
人様がみんな靴を履いているのに
自分だけが裸足だと我慢できない動物なのだ
「食」もまたしかり
人様が
どこそこで美味しいフグ料理を食べてきたというと
その途端
口中にその食感を感じ涎がわいてくる
そうなるともうとまらない
自分もなんとかしてフグを食べたいものだと思う
ところがこのフグ料理というのは
やたらと高額で
おいそれと食することはできない
自分で釣って食べようととすれば
食管法違反でお縄になる
が
高嶺の花であればあるほど思いはつのる
思いをとげようと思えばなんらかの方法で
その費用を捻出せねばならない
若いうちなら
自分で稼いで自分の裁量で使えるが
家庭ができるとそうはいかない
なにごとにも恐い方の許可がいる
フグを食べにゆくからと無心したのではまず望みがないし
元カノと行くなどとわかれば
血の雨が降ることになる
その点 鵜 はいい
自分で捉えて自分の腹にそっくり納めてしまう
それも
向こう側が透けて見えるような薄~い刺身を
有難がってちまちまと食べるのではなく
まる呑みである
ああ
わたしは 鵜 になりたい
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